唐突ですが…

自分の考えを整理するために書く。

諸々、あまり気にしないように(誰もたいして気にもとめてないとは思うが)。

 

 

最高裁憲法判断について

 

法律が合憲か違憲かを最終的に判断するのは、憲法学者ではなく最高裁である。

間違いないが、違憲審査制には下記の二通りある。

(以下、ウィキペディア日本国憲法第81条」の解説より)

 

違憲審査制[編集]

附随的違憲審査制(司法裁判所型・私権保障型、アメリカ型・日本で採用)
憲法判断は、具体的な訴訟案件の解決の過程の中で、その解決に必要な限度で行われるもの。具体的なトラブル・問題の発生を待たずに法令や行政行為の合憲性を審査することを認めない。裏返すと、憲法裁判所のような合憲性審査のための特別な裁判所の設置を行わず、下級裁判所を含む通常の各裁判所における合憲性審査権を認めることが一般的である。
具体的案件の解決のために、その案件における事実関係を前提として合憲性に関する判断を行うために、違憲判断における個別的効力を認める立場(当該案件との関係においてのみ合憲性に関する判断の拘束力を見認める立場)と親和性が高い。法令違憲の判断であっても、必ずしも当該判決の一般的な無効を意味しない。
抽象的違憲審査制憲法裁判所型・憲法保障型、ドイツ型)
具体的な争訟の発生を待たずに、法令ないしは行政行為の合憲性に関する審査を認めるもの。立法過程における法令の合憲性に関し事前審査的に憲法適合性の判断を行うことや、一定の場合には、抽象的な利害関係しか有さない者に対し憲法適合性の審査の申立てを認めることが含まれる。当該審査を行うための特別な機関としての憲法裁判所を設けることが多く、当該機関において憲法問題に関する判断を統一的に行うことを目指す。
憲法判断は、個別具体的な案件を前提としていないことから、拘束力については案件の枠を超えて広く一般に認められることとなる。

 

 

つまり、日本ではなにか事件が起こってそれを解決するためにのみ法令の合憲・違憲の判断をする。

 

砂川事件で言えば、狭義には「憲法9条が禁止する戦力とは日本国が指揮・管理できる戦力のことであるから、外国の軍隊は戦力にあたらず、アメリカ軍の駐留が憲法及び全文の主旨に反しない」と述べているに過ぎない。

もっとも、その判断の背景として、「わが国が主権国として持つ固有の自衛権は何ら否定されたものではなく、わが憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではないのである」とも述べている。自民党の合憲論はこの「自衛権」に「集団的自衛権」も含まれるという解釈をしたものである。

 

 

日本やアメリカが採用する「附随的違憲審査制」とドイツ型の「抽象的違憲審査制」のどちらがいいか、を一概に判断することはできない。

三権分立の立場から考えると、日本やアメリカ型は司法権の腰が引けてるような気がしないでもないが、ドイツ型を採用すると、それがどんなに国民のためになる法令であっても「違憲」というだけで門前払いされてしまう危険性を否定できない。

 

さすが、高村副総裁は知恵者である。

今回の政府与党のやり方は、この日本・アメリカ型の違憲審査制を存分に利用した。

「最終的な憲法判断は最高裁」と言いながらも、最高裁はこの法令の「成立」を差し止めるなんの権利も持っていないのである。

なにか事が起こらなければ「違憲訴訟」にもならない。

その上、砂川事件を解決するために示された判断を汎用的に解釈(それもかなり拡大して)した。

 

 

「レッテル貼り」について

 

そもそも、言葉というものは「レッテルを貼るもの」という性格を持っている。

ものに名前をつける、状態を簡潔に表現する、という作業は、多かれ少なかれ「レッテル貼り」である。

 

そのレッテルの貼り方には当然、巧拙がある。

小泉元首相はこの「レッテル貼り」を巧みに利用した。

抵抗勢力」しかり、「骨太の方針」しかり。

ま、安倍首相も「アベノミクス」というレッテルを、実体は伴わなくても精一杯の期待感を抱かせて、上手く利用した。

 

そのレッテルの貼り方が巧ければ巧いほど、対立する相手方にはマイナスに作用する。

戦争法案」というレッテルは、法案に反対する側にとってはかなり上手で、法案を提出した側にとってはこれほど鬱陶しいものはない、というだけである。

安倍首相の「レッテル貼りによって議論を矮小化する」なんて、ピントはずれもいいところだ。

矮小化ではなく、あくまで自分の主張が聞き入れられづらくなる、ということだ。

 

ちなみに、自衛隊員のリスクが増えるかどうかについて「木を見て森を見ず」とか、安保法制の違憲判断について「憲法を守って国滅ぶ」とかも「レッテル貼り」には違いない。

でも、レッテルの貼り方があまり上手ではなかったために反対方にたいしたダメージを与えることもできなかったけど、ね。