のぼうの城

先日妻と「のぼうの城」映画を見に行った。
和田竜の同名の小説を狂言師野村萬斎主演で映画化したものだ。
この原作は先々シーズン北海道から帰るフェリーの中で、普段は本のページを2、3ページめくると眠ってしまう私が、ほぼ一睡もせずに上下巻を読み通したものだ。(http://d.hatena.ne.jp/jukuchou/20110308
それほど面白かった。
昨年春に公開される予定だったが、城を水攻めするシーンが津波を連想させるというので、延期になっていたらしい。


半分も見ないうちから涙でグシャグシャになってしまった。
普段、家臣を初め領民たちからも「のぼう様」(でくの坊の意)と呼ばれてる城代の成田長親が、二万を超える兵を持って押し寄せ、降伏を迫る石田三成に対して、宣戦を布告するシーンだ。


長親は言う。
「二万の兵で押し寄せ、さんざに脅しをかけた挙句、和戦いずれかを問うなどと申す。そのくせ降るに決まっておるとたかを括ってる。そんなものに降るのはいやじゃ」。


さらに
「武ある者が武なき者を足蹴にし、才ある者が才なき者の鼻面をいいように引き回す。これが人の世か。ならばわしはいやじゃ。わしだけはいやじゃ」。


まさにその通りだと思う。
これは今の政治であり、大企業であり、ジャイアンツであり、東京の文化であり…。


オレもイヤだ。
だから、菅平に住んで「なかにしスキー塾」をやっている。
たとえ、誰一人生徒が来なくなってのたれ死のうとも、最後まで「のぼうの城」のように生きたい。