なんじゃこりゃ!!

讃岐うどん食べ歩きの前哨戦!? として、奈良の八木というところへ
N島さんイチオシの「榛原牛」を食べに行った。
榛原牛は、けっして全国区ではない(実は私も知らなかった)。
榛原は奈良県の東、三重県との境に近いほうにある。
ま、きっと、松阪牛のお隣さんみたいなものだろう。
小さな座敷に通されて、お姐さんが焼けた石を運んでくる。
もうそれだけで、食欲をそそる匂いが部屋中にいきわたる。
石に染み込んだ肉の脂の匂いだ。
嫌が応にも期待が高まる。

そしてついに「榛原牛」登場。


「なんじゃこりゃ!!」


めったにお目にかかることのない見事な霜降りのロースだ。
あらためて油をひくこともなく、そのロースを焼けた石の上に載せる。
表面に少し焼け目をつけたところで、からしポン酢のタレをつけてパクリ。

再び「なんじゃこりゃ!!」


甘みが口いっぱいに広がる。
牛肉というより大トロのあぶりだ。


二口ぐらいロースをいただいたところで、
今度はヘレ(ヒレ肉のことを関西ではこう言う)を焼いてみる。


三度「なんじゃこりゃ!!」


私は今まで脂身の少ないヒレ肉がキライだった。
肉のおいしさは脂身にあると思っていた。
が、このヒレの美味いこと、美味いこと。
こんなヒレは初めてだ。


一人前8000円也のコースである。
ほとんど出勤しないのに満額の給料をもらってる奈良の公務員ではない一般庶民には
しょっちゅう食べられるもんではない。
が、せめて年に一度ぐらいは、この味を思い出したいもんだ。


帰り道、近鉄奈良駅の近くの焼き肉レストラン「牛角」から
カップルが出てくるのを見かけた。
私は一段上から見下ろすような態度で
「ここらの肉で満足してるようじゃ、まだまだやな」